読了『セックスボランティア』

セックスボランティア、障害者に対して有償もしくは無償で性の奉仕をすること。本書ではセックスボランティアを利用する人、サービスを提供する人、両者にインタビューを重ねながら、『性とは何か?』を考察しています。

セックスボランティア (新潮文庫)
河合 香織
新潮社
売り上げランキング: 6757

たとえ てあしがうごなかくても にんげんのおとことしての よくぼうがあるかぎりは けいざいのゆるす はんいの ことであれば それによって ひごろの ストレスを はっさんさせ あすへの いくる みなもとのするなら それなりのいぎの あることとおもう(19頁)

佐藤さんは、手足が不自由な障害者の「手」となってマスターベーションの介助をすることもある。「おおっぴろに語れていないだけで、身障者の介助の現場では多くの人がしていることですよ。別に珍しいことではありません」(25ページ)

こうやって指摘されると障害者に性欲があることは自然なことのように思われるけれど、言われるまでは性欲の存在をタブー視して、その存在を無視して振舞っていたような気がします。理由はなんだろう。触れちゃマズいテーマだぞ、と過剰に反応していたのかな。

セックスボランティアに賛同する人がいる一方で、

障害者だからってセックスボランティアにぃ頼まないとダメなのかぁなと思うと、なんか間違っているなと複雑な心境。本当だったら、恋人をつくるのが当たり前なのに、障害者は恋人ができないというぅ考え方に納得できない(62頁)

障害者専門の風俗店というのがあるのが不健全なんだ。本当は、障害者を受け入れてくれる普通の風俗店が増えたほうが健全な世の中でしょう(86頁)

という意見もある。風俗店の是非はここでは問わないとしても、僕が障害者だった場合はどちらを利用するだろうか。どちらも利用しないのか。できれば自分を特別扱いされたくないだろうから普通に恋人をつくったり、一般の風俗店へ行ったりしたいと思うかもしれないが、それがどれだけ困難なことなのか今の僕には計り知れない。

出張ホストクラブというのは、男性が女性客の指定した場所に出張し、性的サービスを行う風俗店のことを指す(98頁)

男性ばかりではなく女性が利用するサービスもある。女性の障害者だって性欲があって当然。だけど・・若干の驚きを隠せないのはなぜだろう。意識外からガツンとやられた気分。

また、性の先進国オランダではセックスボランティアを利用する為の助成金を出す自治体もある。だが利用している人が限られているよう模様。

助成金の受けるには条件があります。ひとつは収入が少ないこと。次に、セックスの相手がいないこと。さらに、自分でマスターベーションができないこと。これらを満たす人はとても少なくなるんです(176頁)

例え日本でこの条件に該当する人がいたとしても、日本の自治体でまだ実現は難しいように思います。日本社会の『障害者の性』に対するコンセンサスは統一されていないだろうから、こんなことを実施しようとする自治体が出てきたら、マスコミに叩かれてすぐに消えてしまうでしょう。僕だって大手を振ってこの助成金に賛成できるかと問われれば答えに窮します。それだけこのテーマについて向き合ってこなかったという事だと思います。将来自分だっていつ身体に障害をもつか分からない訳で、本書は『障害者の性』を身近な問題として考える良いきっかけになりました。

Add to Google このブログをRSS購読する

関連する記事

    関連する記事は見当たりません…