立花さんが、旅について語る、
ひとこと、ひとことが、ずっしり響きます。

なんで、こんなにぼくの心に響くのかなぁ、
考えてみたんですが、
それは、おそらく、旅に対する哲学みたいなもんが、
ビシッと一本あって、
かっこいいからなんだと、思いました。

旅は日常性からの脱却そのものだから、その過程で得られたすべての刺激がノベルティの要素を持ち、記憶されると同時に、その人の個性と知情意のシステムにユニークな刻印を刻んでいく。旅で経験するすべてのことがその人をかえていく。その人を作り直していく。旅の前と旅の後では、その人は同じ人ではありえない。

旅は(人生はといってもいいが)結局のところ出会いなのである。出会いは本質的に計算になじまないことなのだから、出会いに期待するなら、予定なんて立てずに成り行きにまかせるのがいちばんである。

自分の肉体を移動させることで、文字通り視点を変えたら、見えるものがちがってくるにちがいないと思ったからである。

旅をしている最中に、その旅について何か記述することを試みる人は、貧しい旅をしている人だと思う。

旅のパターン化は旅の自殺である。

思索紀行 ――ぼくはこんな旅をしてきた
立花 隆
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