危機感を自分のこととして受け止められるか『希望の国のエクソダス』

希望の国のエクソダス (文春文庫)
村上 龍
文藝春秋
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村上龍さんの小説を初めて読みました。
なにか、社会派小説といった雰囲気ですね。

ぼくが惹かれたのは、小説のストーリーよりも、
小説を通してみられる、龍さんの洞察の鋭さ、でした。

舞台は、2002年前後の日本なんですが、
小説内で龍さんが(たぶん、危機感をもって)訴えていることは、
いまの2010年の日本にも、相変わらず当てはまっています。

”それ”は日本社会のよくみえる場所に現れていないだけで、
慢性的な病気のように、じわじわと、
進行してきたんじゃないだろうか、ということです。

もちろん、小説内で、おおげさに表現された”それ”のいくつかは、
いまの日本で実現されていないこともありました。

ただ、”それ”が当たっているとかいないとか、そんなことを議論することは、
ぼくにとっては意味のない話で、
この小説を、これからの自分や家族、子供のことを考える材料として、
きちんと消化していきたいです。

希望だけしかなかった頃とほとんど変わらない教育を
受けているという事実をどう考えればいいのだろうか

普通、学校というところはリスクを特定してくれて、
そのリスクを管理するための訓練とか勉強を行うんだと思うんですね。

それがない以上はそこを出て、
自分たちで何とか自分たちなりにリスクを特定しながら、
それを管理するようにしないと、あまりにも危険すぎるでしょう?

希望を失った国に対する最良のスタンスは、
略奪ということになるでしょう。

先端的な知識や情報や技術を自分が持っていないというのは
確かに明らかな不安材料だ。

それらが社会的に有用で、しかも自分には欠落していると
自ら認めざると得ないとき、決定的な遅れをとり
誰か他人に搾取されるのではないかという不安と恐怖が生まれる。

大前提的な庇護を失い、個人が個人として生きるようになるという概念を
まだ日本人は持つことができないでいるが、
共同体として個人の関係性だけはなし崩し的に変わりつつある。

誰かに何かをしてあげたい、
誰かに何かをしてあげることができる存在になりたいという思いが、
どれだけ普遍的で、切実なものなのかを
これから日本人は思い知るようになると思う。

読了『マインドセット John Naisbitt』

Thinking...
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なにかを予測したいとき、
どんな風に考えたらいいのか、
そのアイデアっぽいものが11個も詰まってます。
その中から、ぼくが面白いなぁ、と、
おもったものを紹介してみます。

ゲームのスコアに注目せよ

サメに襲われて亡くなるひとよりも、
ココナッツが直撃して亡くなるひとのほうが多いのに、
サメばかりが話題になりますよね。
話題のインパクト性に目をとらわれずに、
ちゃんと数字をみましょうね、という話。

正しくある必要はない

世の中、いろんなことがどんどん変わっているだから、
正しくしようとすることすら難しいし、
それがほんとに正しいのか誰にも分からない(はず)。
他人がなんと言おうが、
じぶんの信じるところを信じるのが楽だよね、という話、たぶん。

未来はジクソーバズルだ

世の中がたまげる、とんでもない法則なんてものは、
じつは、すでにわかっている事実を、
組み合わせただけにすぎない、という話。
ということは、逆にいうと、
大切なことは、いまわかっている事実に着目すること、
そして、どんな組み合わせができるか考えること、
そんなことが大切なんだと、思いました。

マインドセット ものを考える力
ジョン・ネスビッツ
ダイヤモンド社
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読了『情報の文明学 梅棹忠夫』

the information age of then...
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「情報」の扱い方がおもしろいですね。
ネクタイも家庭菜園も、ある意味、情報産業だそうです。

なんでかというと、
ネクタイは、ただの布きれじゃなくて、
そのネクタイのデザイン(という情報)を買っているから。
家庭菜園も、野菜をつくるという趣味体験(という情報)だから。

となると、ぼくたちのまわりにあるものは、
なんでもかんでも情報というわけですか。
日本はやっぱり「ものづくり」だよね!と、
思っているひとがいたとしても、
実は、つくっているものも情報だったりするわけです。

そう考えていくと、
日本はどんな「ものづくり」をしていけばいいのか、ではなくて、
どんな「情報づくり」をしていけばいいのか、
そして、その「情報」をどうやって貯めて、伝えていくのか、
そんな発想がいいのかもしれないなぁ、と思いました。

ネクタイにしても、我々は単に細長い小さな布切れを買ったのではなく、デザインを買ったのです。デザインは情報である。我々はまさに情報に金を払っているのです。

情報の蓄積をいうことのもっている文明史的意味をしっかりつかまえる必要がある。

全世界を覆う情報の体系は、歴史的に蓄積された、普遍的存在として我々をとりまくが、人間個人は、常にそれを「空気」として呼吸するのである。こうして、古典は現在においても新鮮な意味をもつ。

情報の文明学 (中公文庫)
梅棹 忠夫
中央公論新社
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『がんばること』ってなんだろう。

working environment revisited
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『がんばること – 横浜逍遙亭』を読んで、
ぼくにとっての、『がんばること』の意味や目的なんかを、
考えてみました。

まずひとつは、自己満足のため。
じぶんが思う、こんなことしたいなー、
あんなふうになりたいなー、を実現するために、
『がんばろう』とおもいます。
まぁ、そんなに気負いもないですし、
いやいや感も感じていないので、
もしかしたら『がんばって』ないのかもしれませんが。

もうひとつは、物質的な豊かさのため。
中山さん(id:taknakayama)は、さきほどのエントリーで、

がんばることで給料が上がったり、物質生活が豊かになるとは限らない。いえ、彼や彼女に明らかに人とは異なる能力や才能がない限りは、がんばたって、そんなに結果は変わらないというのが多くの人々にとって現実です。

と、書かれていますが、
ぼくは、ちょっと別の意見をもっています。

いまの時代も、『がんばったら』、『がんばった』ぶんだけ、
ちゃんと物質的な豊かさが手に入るんだけど、
その『がんばる』方程式みたいなもんが、
昔とは変わってきてるだけだと、感じてます。

今までどおりの『がんばる』方向じゃだめだけど、
もうちょっと別の方向に『がんばってみれば』、
おもしろい結果が得られるかもしれないなー、と、
期待をこめて、そう思います。

ただの願望かもしれないですけど、
こういう自分勝手な心のよりどころも、
『がんばる』ためには必要ですよね。

読了『日本を降りる若者たち』

日本を降りる若者たち (講談社現代新書)
下川 裕治
講談社
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『外こもり』という新しい行き方を模索している人たちを紹介している本書。タイのバンコクを舞台に『外こもり』をしている多様な人物が登場し、自分の知らなかった行き方があるんだ、と興味を持って読むことができました。

日本でひきこもるのではなく、海外の街でひきこもる若者たち(17頁)

外こもりというスタイルに、厳密な定義があるわけではない。しかしその資金を見たとき、日本で一気に稼ぎ、その金が尽きるまで海外で暮らすという形はひとつの典型でもある。(23頁)

ただ、長期間海外でこもる為にはお金が必要なわけで、日本でお金を稼いでいる間は肉体的にも精神的にも相当きつそうでした。それは日本が合わずに飛び出してきた人たちだけになおさらのことなんでしょう。

バンコクで暮らすために、必死で耐える時期。どこか外こもりの舞台裏を見てしまったような気がしたものだった。(61頁)

という著者の発言には説得力があります。

また、アジア(タイ)という寛容力のある国で長期間暮らすことの警告も。

しかしそれは、タイという国が演出してくれる舞台で踊っているのにすぎない。どこかやっていけそうな気になって日本に帰ったとしても、待ち構えているのは、自分自身の心の均衡を狂わせ、弾き出そうとした不寛容な日本社会なのだ(139頁)

この発言は『世界級ライフスタイルのつくり方 – 逆カルチャーショック』で紹介されている内容と似ている気がしました。日本と文化が大きく異なる場所で自分が暮らすことがなった場合は、充分気をつけたいと思います。

アラフォー世代の女性像? – 『女装する女』

女装する女 (新潮新書)

GOAL

社会でバリバリ働いているアラフォー世代の女性たちの特徴は?

POINT

アラフォー女性は二種類の女装をしている。

一つは、『女性らしさを味わう為の女装』だ。企業でバリバリ働いている女性は既に男性化されている。彼女たちは帰宅するとすぐにTシャツにパンツ一丁の姿になり、缶ビールをあけてテレビを見る。やることはオヤジと変わらない。働いているときの思考パターンも男性と変わらない。そのため、フェミニンな服を着たりメイクに凝ったりすることで女性らしさを味わっているのだ。

もう一つは、『男性をゲットする為の切実な女装』だ。かわいい女性を放っておいたら男性が群がる時代は終わった。今の男性はリアル女性に魅力を感じなくなってきている。その視線の先にあるのはフィギュアであり、アニメであり、初音ミクなのだ。二次元の女性に惹かれる男性が増える中で、残りわずかな正常な(?)な男性をゲットするための戦い。女装はそのための武器なのだ。

IDEA

本書ではアラフォー女性の特徴として挙げられていたけれど、僕はもっと下の世代も同じような傾向を感じている。会社で働いている同世代の女友達と喋ってみると男と全く変わらんし、身内に女性がいるとなおさら実感できるんじゃないかな。

リアル女性に興味をなくしている男性が増えている実感もある。ニコニコ動画を見れば二次元の女性がランキング上位を占めている。ニコニコ動画にオタクの比率が極めて高いのはもちろんだけど、想像以上のものがある。毛嫌いせずに社会調査だと思って一度ログインしてみてほしい。

新たなパートナーと手を組む – 『沸騰都市のそれから』

沸騰都市のそれから

POINT

金融危機後の4都市、London,Dobai,Istanbul,Dhakaのそれからを追う。

London

世界中の投資家によって盛り上がっていたオークションでは、買い手が表れず不成立が相次ぐ。また、Ken Livingston前市長による外国人への税優遇策で多くの移民が集まっていたが、金融危機が起こるとRussiaの移民25万人、Pohlandの移民20万人が帰国の途についている。

Dobai

不動産価格が4割下落した。割安になった不動産に目をつけて、Africaの投資家が訪れている。また、計画中止に追い込まれた工事が増え、建設機械のオークションが盛り上がっている。最近油田が発見されたLibyaへ送られている。

今、Dobaiは新たなパートナーと組むことで危機を乗り越えようとしている。Moscowで開催された世界投資フォーラムには初めてUAEの対外貿易大臣が露訪した。Singaporeの政府系鉄道会社がDobaiの鉄道開発に興味を示している。中東のハブと東南アジアのハブが手を組もうというわけだ。

Istanbul

国家の債務は2900億ドルにのぼり、EU加盟の目指す前にIMFによる救済を仰がなければいけない状況にある。イスラムファッションの会社も売上は半減したが、Islamic financeの利子は業績に連動しているため深刻なダメージを免れることができた。販路拡大のために、Americaの経済制裁のおかげで金融危機の影響が少なかったIranのTeheranにファッションビルを開発する計画を進めている。SunniのTurkとShiaのIranが金融危機を乗り切る為に手を組もうとしている。

Dhaka

グローバル経済への進出が進んでいなかったおかげで、Dhakaに住んでいる国民は金融危機の影響をほとんど受けていなかった。しかし、海外へ派遣されていた労働者たちは毎日数百人単位で送り返されている。Bangladeshは外貨獲得の65%、90億ドルを海外労働者による送金に頼っていたので国家的な問題となっている。Dobaiが派遣労働者の受け口として期待できなくなったため、新たに油田の見つかったLibyaにあるKoreaの石油プラントへ労働者を派遣しようとしている。

IDEA

金融危機後、ブロック経済を作る⇒各国の緊張高まる⇒戦争への火種を作る、という最悪シナリオを警戒してしまうだけに、離れた国同士がタッグを組もうとしていることは面白いと思った。特にDobai。投資マネーが去って、世界の注目度・評価ともに下がっている中、SingaporeやAfrica、Rossiaなどが興味を持っているのは要チェックやね。

僕はロストジェネレーション – 『失われた場を探して』

失われた場を探して──ロストジェネレーションの社会学

GOAL

学校や職場といった拠り所を失った後、何が頼りにできるか?

POINT

今の時代、学校(特に高校)や職場を僕たちを精神的・経済的な拠り所とすることは難しくなってきている。そこで僕たちには幼いころから『Strong ties=家族や親戚、親友のように強い人間関係』ばかりではなく、『Weak ties=あまり親しくない知人』と接する経験を重ねておくことが大事になってくる。

IDEA

ロストジェネレーションか。ずばり自分も該当していると思う。僕にとって高校や大学は全くといって良いほど頼りになる『場』ではなかった。というよりも自分から行動して頼りにしなかった部分が大きいのだろう。職場も・・・・半年で独立してるしね。あの職場は古い価値観を信頼したい人にとっては居心地の良い『場』になっていただろうとは思う。

今のところ『場』を完全喪失しているような状態にあるわけだけど、それほど大きな不安や問題を抱えているわけじゃないのはなぜなんだろうか。ブログを通してWeak tiesを補完しているような感じがあるからなのかな。

『プーチンの子どもたち~復活する“軍事大国”~』

『プーチンの子どもたち~復活する“軍事大国”~』

POINT

今、ロシアでは軍人を養成する学校である「カデット」が続々と作られているそうだ。ロシアの母親も子供をカデットに入学させたがる。なぜか?ロシアじゃ軍事が一番将来性があるからだ。軍事学校に入っておけば将来民間に転職したときに役に立つ、その母親は語る。プーチン政権時、軍事費は5倍以上になった。軍人の給料も2倍になったそうだ。

IDEA

オイルマネーに頼っている限り、ロシアに内需が育つことはないだろう。内需が育たなければロシアの若者が軍事産業に惹かれるもの無理はない。軍事産業以外に魅力的な将来がないってことは国として悲しいことだと思う。