ソーシャルビジネスの時代の幕開け – 『貧困のない世界を創る』

貧困のない世界を創る

GOAL

Social Businessが社会に普及するためには、どんな仕組みが必要とされるのか?

POINT

Social Businessとは、社会的利益を第一に考えるビジネスだ。利益は第二である。ただし、利益を出さないというわけじゃない。Social Businessは通常のビジネスと同じように利益を出すことも求められる。自ら利益を出すことができれば援助や寄付に依存する必要もなくなるからだ。

投資家はSocial Businessに投資をすることができるが、分配金はもらえない。あくまでも元本を取り戻すだけでリターンはない。投資家は元本を回収することができれば、また次のSocial Businessに投資をすることができる。これは寄付との大きな違いだ。使い捨てじゃないってわけだ。

Social Businessが社会に普及するためには、現在の株式市場と同じようなSocial Stock Marketが必要になる。そこにはSocial Businessを監査する専門機関があり、本物のSocial Businessと口先で良いことを言ってお金を巻き上げようとする企業を見極められるようにする。投資家が参加しやすい環境を整えるのだ。Social Stock Marketの運営が軌道に乗れば、Social Dow Jones Indexといった指数が登場し、それは世界の貧困指数や犯罪率、災害などによって上下するようになるだろう。数年後の投資家は毎日Social Business Newpaperを読み、Social Indexに目を光らせているかもしれない。

また、Social Businessを専門に勉強するためのSocial MBAも登場するだろう。MBAと同じように経営、マネジメント、財務などの勉強だけではなく、貧困の経済学や社会的利益の最大化の手法、Social Businessの運営課題などを学ぶようになる。

IDEA

去年ぐらいから神田さんがもうすぐ社会企業ブームが(良くも悪くも)始まると指摘していたんだけど、その話を具現化するような内容がいっぱいで驚いた。実際に世の中の方向性はそっちに流れている。それは間違いない。若い人になればなるほど敏感に感じ取っていると思う。オールナイトゴミ拾いで注目を集めるような時代だもん。

これまで通りのビジネスはこれまで通り存在するだろうけど、Social Businessが影響力をどんどん拡大してくれたのなら、なかなか面白い世の中になりそうだ。消費者としても投資家としても企業家としても。

Micro Creditの特徴と成功した理由 – 『ムハマド・ユヌス自伝』

ムハマド・ユヌス自伝―貧困なき世界をめざす銀行家

GOAL

「Micro Credit」の特徴とそれが成功した理由は?

POINT

Mirco CreditとはGrameen Bankが扱っている小額ローンのことだ。Mirco Creditには、一般的に知られているローンとは間逆の特徴を備えている。

  • 最も貧しい人にお金を貸す(普通の銀行はお金を持っている人に貸す)
  • ローンに担保を要求しない(普通の銀行は担保を要求する)
  • ローンの金額は小額である。数十ドルから数百ドルほど(普通の銀行ローンは高額)
  • 男性ではなく女性にお金を貸す(普通の銀行ローンは男性がメイン、日本でも女性が一人で高額ローンを組むのはやっかいだ)
  • 銀行員たちが直接借り手のところへ足を運んで融資をする(普通の銀行は借り手がやって来るのを待つ)

貧しい人にお金を貸してうまくいくわけない!!無担保なんて馬鹿げている!既存の銀行家たちはそうやって笑った。

だが、Mirco Creditはうまくいった。Mirco Creditの借り手たちの返済率は98%を超えているそうだ。先進国では(割と)お金を持っている人たちがお金を借りて、そのローンの返済に困っているというのに。皮肉な話である。

なぜ最も貧しい人たちはお金を返済できるのだろうか。その理由を三点挙げられる。

第一に、Micro Creditの一度の返済額は小額に抑えられていることだ。返済は週に一度行われる。貧しい人たちはすぐに利益が上がる仕事に投資をしローンの支払いを行う。週に一度きちんとローンを返済することで彼らは自信を深めていくことになる。

第二に、最も貧しい人たちにとってMicro Creditが最後の希望だからだ。そのローンの返済に失敗すれば「死」が待っている。徹底的に追い詰められているのだ。Micro Credit以外に彼らにお金を貸すものは高利貸ししかいない。

第三に、Micro Creditは5人のグループ単位でお金を貸していることだ。まずローンを組むためには5人全員がMicro Creditの仕組みを理解しないといけない(注.ほとんどの人は読み書きができない)。そして、試験にクリアすれば5人のうち最初の2人までがローンを組むことができる。残りの3人は彼らがローンを返済できるように応援し、また監視する。連帯責任が強くなるのだ。

IDEA

今まで個人がローンを組むことに対していい感情をもっていなかった。それはほとんどが物欲のために組まれているからだ。食事のため、服を買うため、車を買うため、家を買うため・・・。投資目的のためにお金を借りるって人は日本じゃとても少ないんじゃないかな。

だけどMicro Creditを知ってその思いは変わった。お金を借りることで尊厳を手にできる人たちがたくさんいた。Micro Creditでお金を借りて、そのお金で仕事道具を買い、商品を作って自分たちで売る。その過程を通して自分の人生を切り開いていく。お金がもっている良い面のパワーを強烈に感じた。

もう1冊の本を読むのがとても楽しみだ:-)

4つの罠 – 『最底辺の10億人』

最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?

GOAL

Bottom Billionが貧困から抜け出せない理由は?抜け出すための施策は?

POINT

Buttom Billionが貧困からなかなか抜け出せない理由は4つの罠で説明されている。

紛争の罠

紛争が起こりやすい国に住んでいる人は、まじめに働くよりも、内戦やクーデターに加担することに希望をもちがちである。

紛争の罠を打破するためには、外国軍の10年以上を覚悟した駐留が必要となってくる。そしてその国の政府は軍事費を削り、将来紛争が起こるリスクを減らさなければいけない。

天然資源の罠

天然資源が多く輸出するとその国の貨幣価値は高まり、結果として国内の輸出企業の競争力を奪ってしまう。しかも、たいした技術革新をせずとも国が儲かってしまうため、他産業の将来の成長の可能性も縮小してしまう。

天然資源の罠を打破するために援助は全く役に立たない。状況を改善するには国際的な天然資源憲章が必要とされる。

内陸国の罠

内陸国は国際市場に打って出る手が少ない。多くの場合、隣国のインフラに手綱を握られている。スイスのように隣国を優秀な市場で囲まれていれば良いが、ケニアのようにウガンダやソマリアに挟まれているのならチャンスは少なくなる。

内陸国の罠を打破するための有効な手段はない

悪いガバナンスの罠

政府のガバナンスが腐敗していると、どんな援助も開発も無駄に終わってしまう。しかも政府の指導は悪いガバナンスによって私腹を肥やしているので、改善される可能性は少ない。

ガバナンスを改善するための手段として軍事介入が挙げられるが、アメリカのイラクの失敗により世界各国は及び腰になってしまった。有効な手段は本書では挙げられていない。その国の勇気ある人々が立ち上がる瞬間を虎視眈々と待つのみである。

IDEA

何も考えずに海外援助を支援している人、大規模なNGOに寄付をしている人、感情的に武力介入に反対している人、貧困の構造をおおまかでいいから理解したい人は一度本書を読むことをお勧めする。